セラミックスの基礎知識-2

3:やきものの分類

種類

焼成温度

吸水率

釉薬の有無

製品例
土器 700〜1000℃

陶器 900〜1200℃

志野焼・萩焼・衛生陶器
せっ器 1100〜1300℃

無or有
耐寒瓦・備前焼
磁器 1200〜1500℃

有田焼・九谷焼・碍子

4:有田焼について

1)歴史
・はじまり
有田焼の原料である泉山陶石が1616年豊臣秀吉の朝鮮出兵の敗戦に際して佐賀藩主鍋島直茂に 連行された朝鮮陶工、李参平等により有田町内で発見され、これにより日本で初めて白磁が誕生 した。
・鍋島佐賀藩による窯場の整理統合
磁器生産地として発展する上で、磁器の創始と同じくらい大事なものが、寛永十四年(1637)に 佐賀藩によって断行された窯場の 整理・統合である。この窯場の整理・統合は、それまでたんに 陶工個々の生計の手段であった窯業を藩の産業として位置付ける礎となった。
・色絵の始まり
1640年代になると再び画期となる技術が確立した。色絵のはじまりである。それまでの磁器の
文様は、すべて器の表面を覆う釉薬の下に描くものであった。ところが釉薬の上に彩画する色絵
が開発されたことにより、一気に多様な色彩を駆使することができるようになった。
・輸出のはじまりと新技術の普及
中国が明末・清初の混乱で磁器の生産・輸出体制が崩壊状態になってしまったことで、中国の代
わりに世界中に磁器需要に答えられる生産地が必要になった。1659年にはオランダ東インド会社を通じて、海外への大量輸出がはじまった。この後、半世紀あまりに渡って、肥前磁器が世界の標準となったのである。
※詳しい有田焼の歴史について

2)主な陶磁器原料
・粘土鉱物(蛙目、カオリン)・・・成形性を与えるもの
・石英鉱物(珪石)・・・・・・・・骨格をつくるもの
・長石鉱物(長石)・・・・・・・・ガラス質をつくるもの
一般に磁器をつくる素材としては、鉄分の少ない骨材となる珪石、ガラス質を形成する長石、成形性をあたえる粘土を配合し、原料として用いるが、泉山陶石にはこれらの役割を果たす、各成分が一つの鉱物の中に全部含まれていて、この一つの鉱物だけで磁器をつくることが出来る。

3)製造方法-1
・有田焼の製造工程

3)製造方法-2
・各種成型方法
a)金型プレス成形
b)冷間静水圧プレス成形(CIP:Cold Isostatic Pressing)
c)射出成形
d)押し出し成形
e)テープ成型(ドクタープレード法)
f)鋳込み成型(スリップキャスティング)

4)焼成
・カオリンの分解

・還元焼成
温度が900〜1000℃位の時に燃料を過剰に投入することにより、COが発生し、炉内が還元雰囲気となる。還元雰囲気により原料中に含まれるFe2O3が酸化第一鉄(FeO)に変化する。FeOはガラス質に溶融しやすい、性質があり、この性質を利用することで、原料中に含まれる鉄分の欠点を防止し淡い青みを持つ白磁となる。

・焼結
セラミックス原料粉末の成形体が高温で焼き固まる現象